房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

青の洞窟 イタリア・カプリ島 初めてのヨーロッパ

洞窟の作法

青の洞窟入口付近で漂っていた我々のボートに入場の順番がやってきた。
近づくにつれて事情が分かってきた。洞窟入口はどう見ても水面から高さ1メートルほどしかなく、波が寄せれば水没する。
船頭がジェスチャーに添えてカンツオーネ英語で説明するところによると、波が引いたタイミングで、イチ、ニノ、サンでボートを滑り入れるから、全員上体を後ろに倒して頭を舳先以下の高さに下げよ平べったくなれ。そうすればもし舳先が岩を擦ってもアンタらの頭は大丈夫、舳先は丈夫で皆ハッピー、理論的だろ了解したな。 と、そういう事らしい。
舳先の高さを確認しているうちに、練習もなくイチニノサンになり、真上を向いてボートにしがみつく鼻先を岩肌がかすめ、幸い鼻の低い僕らはアッという間に洞窟内の別世界に突入した。
こんなに覚悟と技のいる世界的観光スポットは聞いたことが無い。
しかし、そこは見たことのない青い異次元の空間で、感動と称賛の声があちこちのボートから多国語で聞こえてくる。
水の底から青い光が降り注ぐドーム内には数隻のボートがいて、船頭のオーソレミオが朗々と響き渡っている。と、目の前の女性がいきなり服を脱ぎ捨て船べりから身を投げた。残念ながらちゃんと水着を着ている。濃いミルクのように青白く、クリームソーダのように湧き立ち、ステージのように明るい洞窟プールで気持ちよさそうに泳いでいるではないか。
そんなのアリ?それ、早く言ってヨー。
洞窟内には入場ボート数と滞在時間に制限があるらしく、手慣れた我々は無事に排出されて港に帰還した。
気が付けば1枚の写真も撮っていない。

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後で分かったことだが青の洞窟には入れない時期もあるらしい。
夏場は好適なシーズンだが、それでも天候と波の具合では入れないこともあるとか。ワンチャンスの僕らは幸運だったということか。
岸壁に頭を擦りたくない皆さんには事前の確認と強運を祈ります。

洞窟計画を達成した僕らは急いで高級ホテルを冷やかして回り、高台からナポリ湾を眺め、一か月以上の長期滞在が当たり前のリゾート島から日帰りでナポリに戻った。

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スパッカナポリ

安全な陸地でモグラたたきの日課に戻った僕らは、ナポリの食と酒を巡り歩く。
雑踏が魅力的な旧市街スパッカナポリは安全な昼間のうちにレストランのロケハンをしておき、ついでに昼酒を飲み、夜は目指すレストランに直行・直帰でイタリア料理を味わった。
選んだレストランは全く庶民的な、広い厨房のような店内で漁師のように日焼けした地元の人々がワイワイ食べる、そんな期待通りの場所だった。
ナポリではパスタはただの前菜かパンのような扱いらしく、でかいボールでドサッと出てくる。そこに店主のサービスなのか、頼んでいないこれもでかい西瓜が丸ごと出てきた。
遠慮なく食べろと言ってくれているらしい。グズグズしていると大きなナタのような包丁で2つにパカッと割ってくれた。
スパッカナポリというのは ‘’ナポリを真っ二つに割る” という意味だが、これはそういう演出か。
かましいほど賑やかなナポリっ子ファミリーの旺盛な食欲を横目に夕食を楽しんだ気がするが、2皿目のメインディッシュに何を注文したのか、しなかったのか全く思い出せない。


ー つづく ー