房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

3000キロの旅へ

10月16日

ダーウィン市内に設けられたゲートから各国のレースカーが一定間隔でスタートして行く。
ゼッケン90番・Team Okinawa 車両名「LEQUION」のスタートアナウンスをゲート脇で待っていた僕はチェイスカーをLEQUIONの後ろ3メーターにつけて追尾した。
市内中心部の一般道を一般車両に交じって走り、無線でLEQUIONに指示を出しながら南に延びるアウトバック1号線、通称スチュアートハイウェイへの入口に向かう。

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大学時代のラリー経験でコマ地図を辿って走ることには慣れていたが、このレースは勝手が違った。
自車の走行成績ではなくレースカーのガード、チーム車両やスタッフとの連絡が役目だ。小さなレースカーの直後をガードしながら無線で進路を指示し、前方を行くスカウト車や後方の運搬トラックからの情報を整理してドライバーに伝える。さらに、レースカーの電流電圧状況を一定間隔でドライバーから聞き取りメカニックにインプットする。
これが3000キロ続くのは結構な忙しさで、オーストラリアは日本で馴染んだ左側通行なのが救いだった。

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ほかにもう1つ面倒なことが有った。
隣の助手席には大会側から派遣されたジャッジが1人同乗して全行程を監視するとルールで決まっていて、3000キロの道のりの中でコントロールポイントごとに交代する。このジャッジが、お喋りなオネエさんの場合は楽しいが、全く無口なオニイサンだったり、やたら几帳面なオジサンだったりした。24時間一緒なので食事も野宿もチームが面倒を見る。
チェイスはレースカーの真後ろに3秒以内で到達できる距離にいるのがルールなので、常におよそ4~5メーター以内につけている必要が有る。この距離を外すと隣の几帳面なジャッジからオーストラリア訛りの英語ワーニングが飛んでくる。
『レースカーとチェイスの間に他のクルマが入り込むのをガードしてヨ。もっとくっつけてクダサーイ』

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この煩わしさはしかし、なぜ必要なのかスチュアートハイウェイで思い知らされることになる。オーストラリアというのは実に、日本の常識の外にある大陸なのだ。
かくして、チェイスカーの車内はオーストラリア英語とジャッジに知られたくない日本語会話が飛び交い、賑やかに砂漠地帯を目指すのだった。