房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

ゴールの風景

敗者のないフィナーレ

アデレードは歴史を感じさせるモダンで古い町だ。
最後の市内走行は競争ではなく、順位も意味を失い、ほてった気持ちの余韻を楽しむ時間だった。

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ゴールゲートをくぐり、最終検査を受けるために車両を所定の位置に並べると、6日間続けてきたルーティンワークは突然消滅した。3000キロを共にしてきたチェイスカーのエンジンを切り、車外に降りた足元が少しふらつく。

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1日500キロを6日間ドライブして、睡魔に襲われることは一度もなかったが、セレモニー会場に徒歩で向かう時に初めて鉛のような疲労感が降って来た。
セレモニーはアボリジニーのステージダンスで始まり、入賞チームの表彰で幕を閉じた。大会の取材班が撮影した映像が既に編集されていて、ハイウェイでのレース風景が大画面に映し出される。竜巻や雨や山火事の様子まで、3000キロの行程で見てきたことが鮮明に、臭いや振動まで引き連れて蘇った。映像にシンクロして湧き上がる会場の大歓声は、聞こえてはいるけれど現実感が無く、はるか遠くで響いていた。

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人生のたった6日間のレースの記憶が、10年たった今もくっきり残っていることに驚いた。スチュアートハイウェイを再度走ることは、おそらく無いだろう。でも、この記憶の鮮度だけはずっと変わらないだろうなと心で呟いている。