房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

懐かしいアフリカ タンザニア編

初体験の大陸

キリマンジャロの冠雪

キリマンジャロの冠雪

縁あってアフリカに関わって、およそ8年が過ぎた。
医療過疎地域にドクターカーを走らせる計画の調査で、東アフリカのタンザニアを訪れたのが始まりだった。
インド洋に面した最大都市のダルエスサラームに滞在し、現地の大小のクリニックやリハビリテーション病院を訪れて、日本とは比べようもない、野戦病院のような情景を目の当たりにした。待合室に入りきれない患者さんたちが廊下から中庭にまで溢れ、座り込んで、いつになるか分からない順番をひたすら待っている。どう見ても厳しい状況なのに、その表情には悲壮感が希薄だった。
それは諦めなのか、それとも僕にはとても辿り着けない達観なのか。どう向き合ったらよいのか分からず呆然としたのがアフリカとの最初の出会いだった。

見事なゴスペルが響く、海辺の教会

見事なゴスペルが響く、海辺の教会

タンザニアというのは東アフリカの国々のなかでは比較的安全で、人々の気性も穏やかなのだそうだ。
特に、子供たちの眼は誰も真っ白で、口数は少ないけれど人懐っこく純真で、日本の標準からすれば恵まれているとは到底言い難い環境で生き生きと暮らしている。自分を不幸だと思っている様子は微塵も感じられない。
遠い異国からやって来た変なオジサンに興味津々の子供たちに囲まれながら、この国の未来は明るいなぁと、心底思ったものだ。

土産屋を預かる少女

土産屋を預かる少女

民芸品に彩色する娘さん

民芸品に彩色する娘さん

生地屋の店員さん

生地屋の店員さん

よく滞在した宿は海に面したビジネス地区にあったが、部屋の窓からは瀟洒キリスト教会が目前に見えた。朝6時になると老若男女の信者たちが集まり、プロシンガーも真っ青の合唱が響いてくる。その見事なゴスペルを目覚ましにして僕の一日は始まった。
時間があれば車で少し足を延ばして、当地の独特な文化を継承する絵画村へ出かけた。
ティンガティンガと呼ばれる、アクリル絵具やペンキで描かれた絵や民芸品を物色したり、若い作家連中と話したり値切ったりするのが休日の楽しみだった。

ティンガティンガ村のスコール

ティンガティンガ村のスコール

価格交渉中の観光客

価格交渉中の観光客

マサイ族を描いた最もポピュラーな絵と若手の画家

マサイ族を描いた最もポピュラーな絵と若手の画家

民芸品を彫る少年

民芸品を彫る少年

オイスターベイという欧米人が好んで集まる地区のテラスレストランに行けば、インド洋に沈む見事な夕日を眺め、海を渡ってくる風に吹かれながら、良心的な値段のワインでシーフードの食事という贅沢な時間を過ごすことも出来る。
タンザニアがアフリカへの第一歩というのは、この大陸に馴れるためには幸運だったのかもしれない。一方でアフリカ時間の流れに流されて、スワヒリ語でいう「 Pole Pole(ポレポレ) 」のゆっくりズムにイライラを募らせ、5回、6回と渡航を重ねても結局仕事は実らなかった。

裏通りのランチタイム

裏通りのランチタイム

その後、アフリカ大陸の8か国を訪ねることになったが、やり残し感は蓄積するばかりだ。
それでも、いやそれだから、原色の人たらし大陸に生きる人々と町と赤い大地を懐かしく思う日々が悶々と続いている。