房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

アジスアベバ徘徊

アジスアベバの休日

タクシーをチャーターして大好きな市中徘徊に出かけた。
行きたいところ、見たいものは沢山あった。
博物館に行く、ローカルレストランで地元料理を食べる、喫茶店エチオピアコーヒーを飲む、衣料品の商店通りへ行く、ナイトクラブを視察する。
まず国立博物館でルーシーに会う。
彼女は1974年に発見された318万年前の化石人骨。予想外に質素な館内を見て回ると、暗い一画に実にあっけなく、ひっそりと彼女は立っていた。発掘時に調査隊が聞いていたというビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ」にちなんで命名されたそうだ。

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この博物館は館内撮影自由

アジスアベバにはもう一つ、レッドテラーマーターズメモリアルミュージアムという記念館があって、共産政権時代の拷問や虐殺の歴史を遺品や模型で展示している。
山積みにされた夥しい数の頭蓋骨と衣服、拷問部屋の実況人形模型、犠牲者のリストなどが並び、あまりのおぞましさに圧倒された。
ジェノサイドはルワンダが有名だけれど、エチオピアにもこんな悲惨な過去があったのだ。エチオピアの友人の家族も犠牲者リストに名を連ねていると聞いた。
ここを最後の訪問にしたのは正解だった。これを見た後で食事はあり得ない。

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ストリートサイドの衣料品店は他のアフリカ国とよく似ている。違うのはしつこい客引きをしない事か。どぎついエチオピア人というのはめったに遭遇しない。
胸ポケットに入れていたスマホを子供に掠め取られたことが有るが、大声で追いかけて、手に持っていた上着を投げつけたら、丁寧に足元に置いて逃げ去って行った。バレたり、捕まったりしたらひどい目に合うと分かっているらしい。これも軍に統制された社会主義国の特徴か。

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エチオピアコーヒーは期待通り、どこで飲んでも美味しい。
地味な喫茶店の片隅の床で挽きたての一杯を用意してくれる。立ち飲み喫茶ではサッカーゲームをテレビで観戦しながら賑やかに飲む。店内は暗く涼しく、外は日差しが眩しいけれど2,400メートルの高地の空気には刺すようなトゲがなかった。

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ところでタクシーだが、今回のクルマはセルモーターで始動した。上等だ。問題は運転手。行き先を告げるたびに「イッシ、イッシ」(アムハラ語でOK、OKだと思われる)と返事が来るが、やたらとクルマを停めて窓から首を出しては人と話し込む。はじめのうちは顔の広いお喋り男だなと思っていたが、どうやら道を尋ねているらしい。

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その後何度もタクシーを使ううちに、地理不案内の運転手が多いことに気づいた。道を聞かれたほうも口角泡を飛ばして熱く説明するが、本当に知っているのか疑わしい。

プライドが高く、知らない、出来ないと言いたがらず、かなりお節介なのもエチオピア人気質のようだ。