房総半島から徒然ブログ

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世界一周ひとり旅 その5 パナマ運河

AROUND the WORLD in 38 DAYS : PANAMA
文化不明のパナマ

トラブルの記憶を引きずってメキシコからパナマへ、COPA(パナマ航空)で移動した。
4時間のフライトで、どこにでもあるような、適度にモダンで印象の薄い空港に着いた。空港タクシーを拾ってパナマシティ中心部のホテルに向かう。
良く晴れた車窓を近代的なビル群が流れてゆく。頭の中にはキューバとメキシコでの出来事ばかりが流れ、初めての国への好奇心が高まらない。

今回の旅の滞在先にパナマを選んだ理由を考えてみた。
北米と南米を結ぶ細い陸の回廊のような地形は、子供のころから見てきた世界地図でいつも興味を惹かれていた。太平洋から大西洋への海路、パナマ運河なる場所にも一度は立ってみたいと思っていた。
スターアライアンス中南米を旅するにはCOPAが外せず、このあと旅するジャマイカから便利にアルゼンチンに向かうにはほとんどCOPAしか選択の余地がなかった。
予約したホテルは街のビル群のなかにあり、便利そうだが土や庶民の気配がない。
そもそも、パナマシティという街は小規模なシンガポールロサンジェルスのようで、個性に乏しい。

これまでの旅で溜まった洗濯物をホテル屋上階のコインランドリーに放り込み、プールサイドで洗いあがりを待ちながら、明日からの予定を考える。
まずは市内巡回バスに乗って街の概観を知り、惹かれる場所を見つけたら徒歩で徘徊する、いつものパターンに決めた。
巡回バスで巡る街は、海の眺めと高層ビル群がマッチしてモダンで小ぎれいで破綻がない。都会に放り出されたヒッピーのような気分にさせられた僕は、カスコビエホというUNESCOに登録された古い町でようやく人の暮らしの一端を観ることが出来た。
運河を観ればいいだけの国なのかなとフッと思ってしまう。

海の門に立つ

パナマ運河の観光スポットであるミラ・フローレス閘門へは市内巡回バスが周っている。
正面入り口で入場料を払うと、まず運河の歴史をまとめた30分ほどの映画が観られる。
10年の難工事とマラリア蔓延を乗り越えて完成し、アメリカからパナマに完全返還されて25年が過ぎた。モーガン・フリーマンのナレーションによる大スクリーンの映画は良く出来ている。

進路案内に従って次に進むといきなり景色が広がって、大型の輸送船が目前の水路に浮かんでいた。いくつかの水門の開閉と注排水でカリブ海から太平洋方向へゆっくりと進んでゆく。野球場ような階段状の観覧席から眺める観衆から時折声が上がり、船上の乗組員たちが手を振って、その歓声にこたえる。大音量で流れるスペイン語のアナウンスが見事に運河ショーを盛り上げていた。
大西洋から太平洋へ全長82km、水位を上げながら山を越えて船を運ぶというこの壮大な水路は、最近の水不足で1日の通行数を大幅に減らさざるを得ない状況だという。1隻1億円を超えると言う通行料を考えると、大幅な国家予算減少のはずだ。


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パナマはUSドルを国内通貨にしている。街角のATMでクレジットカードでUSドルが入手できるというのは便利で、次の旅程に備えて手持ちドル現金を補充できた。
自国通貨を持たない国というのはどんなものなのか想像もつかないが、運河と観光と外国通貨で成り立つ国だとすれば難しい時代だろうと思う。
市内に帰ろうとバス停で時刻表を覗くと、無料パスで乗れる巡回バスまでには相当の待ち時間があるようだ。
ちょうどやって来た一般バスに乗ってみた。

乗車口で現金を投入して回転式のバーを押し倒して乗り込むのだがコインが無い、札は使えないらしい。パナマはUSドルの国だがコインはバルボアという自国通貨がある。もたもたしていると運転手が何か言っている。『他の客と一緒に乗ってしまえ』の手ぶりに見えた。
男の客を選んで背中に密着し、回転バーを2人セットで抜けた。
おおらかな国パナマ、いっぺんで好きになった。