AROUND the WORLD in 38 DAYS : Preparation
いつか実現したいと思っていた旅へ
72歳の世界一周ひとり旅、終えてみればよくやったもんだと思わないでもない。
しかし、感動力さえ衰えていなければ、いくつになってもまた旅に出たいと思う。
38日間の旅から戻って8ケ月が過ぎた。疼き始めた旅の虫を感じつつ、準備から渡航そして帰国までの出来事を、順を追って書き留めてみることにした。
思わぬ失敗や発見が、世界一周を目指す誰かの参考になれば嬉しい。
2023年8月
コロナ騒ぎで中断していたアフリカでのプロジェクトが2023年内に再開する可能性が無くなった。
2024年はケニア渡航にスケジュールを最優先することになるかもしれない、自身の体力はどうか、そんなことを考えると今が決行のチャンスだとの結論に至った。
そうと決めたら時間がない。大急ぎで日程とルートの検討を始めた。
これまでに4大陸の25か国を旅してきた。南極大陸を除くと南米大陸だけが未踏の地で、いつか行くと心に決めていたキューバとその周辺諸国を主要の訪問先とするのに迷いはなかった。
まずは、宿泊滞在したい国を列挙して、おおよそのルートを考えてみる。
メキシコ、キューバ、ジャマイカ、パナマ、ペルー、チリ、ボリビア、アルゼンチン、ブラジル、モロッコ、ポルトガル、スペイン、トルコ、ギリシャ。
まだ行ったことのないこれら14か国を候補に、キューバと周辺のラテンアメリカ諸国を滞在の中心に据えて、前行程と後行程を埋めてゆく。各国の滞在予定日数を仮置きして空想の旅プランが出来上がった。
地図上にマークしてみると、南北回帰線の間を揺れながらアルゼンチンに大きく南下する、赤道中心の動線が見えた。単純計算で2か月を超える旅になりそうだ。
計画時点で年内に残されたのは4か月。旅の空で年を越したくはない、各国の情報を集めるにも、フライト、宿泊予約にも時間が必要になる。現実的にまとめるには縮小が必要のようだが、とにかく旅程作りに着手する。
フライトプランを作る
この旅は世界一周といっても5大陸制覇が目的ではなく、中心は中南米と北アフリカに置いた。希望の国を効率的に繋いでくれるフライトを探すことが重要だ。
世界一周航空券を使うことを前提にしていたので、スターアライアンスかワンワールドか、どちらのアライアンスが便利かをまず調べてみることにした。
世界一周航空券にはアライアンスごとのルールがある。ANA加盟のスターアライアンスは延べマイル数、JAL加盟のワンワールドは渡航大陸数を基本に最小、最大の途中降機回数などの決まりがあって、希望の旅程の長さに従って段階的に料金が設定されている。スターアライアンスの場合、最低価格は確かエコノミークラスで39万円くらいからで、勿論格安と言ってよい。ビジネスクラスでも70万円くらいだから、こちらは超格安といえる。日本から西か東か、まずフライト方向を決めたら逆方向へは戻れない。全行程のフライト事前予約が必要だがチケットとしては1年間有効で変更が可能、途中で中断して帰国、再挑戦も可能だ。勿論途中で挫折するつもりはないが。
東回りでメキシコを目指す
日本から東を目指すか、それとも西か、まずそれを決めないと始まらない。
ラテンアメリカへ最短コースで飛ぶなら、太平洋を越える東回りが速い。
メキシコには甥っ子家族が住んでいて、11月初めには有名な「死者の日」祭りがある。
ということで、祭りに合わせて10月末にメキシコシティに飛び、南米大陸へと南下することにした。
スターアライアンスもワンワールドも世界一周航空券のシミュレーションWebサイトを持っている。
希望の東回り旅程を両サイトでシミュレーションしてみた。
まずワンワールド。サイトが基本英語で、しかもやたらに使いにくい。合致するフライトがない場合の案内が不親切。疲れるばかりなので早々にギブアップした。
残るはスターアライアンス。サイトはワンワールドよりずっと直感的で使いやすい。
しかも成田からメキシコシティまではANAの直行便がある。サービス品質の高い日本の航空会社で旅を始められるのは有難い。
使うのはスターアライアンスにして、10月下旬にANA直行便でメキシコシティに入り、南米大陸から大西洋を渡って、地中海周辺、アフリカ、東南アジアと、東回りで日本に戻るルートに決めた。
詳細ルートを選び出すのにサイト上で行きつ戻りつ、とにかく根気と時間が必要になる。希望する日に、希望する都市間の運行便があるかどうか加盟航空会社のフライトデータベースから探し出してくれるわけだから、簡単なシステムではないなあと感心しつつ、検索した旅程をいくつもサイトに保存しながら10回、20回とシミュレーションを続けた。
旅を思い立ってから2週間以上が過ぎ、まだサイトでのシミュレーションを続けている時、思わぬ事態が起こった。
< 準備編Ⅱへ続く >