房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

アフリカで元旦

エチオピアの暦で1年は13か月ある

1月から12月は各月30日、残りの5日(うるう年は6日)が13月になる。
1日の時間についても、夜明けから夕暮れまでの12時間を1サイクル、夕暮れから夜明けまでの12時間を1サイクルとする12時間制だという。普通の国々と違って1日の始まりは真夜中ではなく夜明けとされている。
考えるほど頭が混乱するし、ビジネスに影響はないので気に掛けることも無いのだが、正月には困ったことになった。
ある年の夏、ナイロビからアジスアベバに入ったのが9月10日だった。
町が異様に閑散としているので聞いてみると、明日が元旦だという。真夏が元旦?
9月に正月とは考えてもいなかった。商店もレストランも休業、ホテルの食堂が辛うじて開いているという有様で不便この上ない。
それなら、祝賀気分を味わえるところは無いかと探したところ、飲食とライブを楽しめる店を見つけた。現地の人にも観光客にも名の知れたナイトスポットのようだ。

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広い店内はほぼ満席で家族連れも多く、正月の飲食をみんなで楽しむという風情満載で実に賑やかだ。ただ、照明が非常に暗いので初めての人には何を飲み食いしているのか良く分からないだろう。
食事は暗闇でも勝手知ったるインジェラとワットだが、酒は不案内だ。
とりあえず周囲を見回して同じものを頼む。ガラスの徳利に入ったオレンジ色の酒が運ばれてきた。隣のご婦人はこれをラッパ飲みしている。正月衣装の女性としては相当大胆な振る舞いに思われ、エチオピア女性の初めて見る一面だった。どこでも、正月は破目を外すものらしい。
こちらも負けずにラッパ飲みするとご婦人と眼が合った。ニコッと笑う眼と歯が暗闇で真っ白に浮かび、感動と恐怖が混じり合って酔いを増幅する。

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ハニーワインはアブナイ味

気づくとこの酒が結構強い。後で聞いてみると蜂蜜酒つまりハニーワインだと言うが成分や製法は知らない。
ちなみにエチオピアは蜂蜜も有名で、町の売店には蜜源の花によって違う各色の瓶詰がズラッと並んで格安で売られている。
タッジと呼ばれるこの地酒はエチオピアでのお気に入りになった。
普通の酒屋には置いてないらしく、タクシーで販売所に案内してもらったことがある。
ここが?と思うような民家で奥から無言のオジサンが持ってくる。禁酒法破りの密売所の趣がある。
どうしても日本で飲みたくなり、2リッターのペットボトルに詰めてタオルで厳重にくるみ、荷物に忍ばせて、ダメもとで持ち帰った。違法だったかもしれない。

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明るいところで見た、タッジと焼肉。美味い。

暗闇ナイトクラブではステージでエチオピアダンスが始まった。
どんな踊りかというと、かなり過激である。
飛んだり跳ねたりは勿論だが、両手を広げた男性が胸の筋肉を激しくプルプル震わせながらリンボーダンスのように踊る。女性はというと、歌舞伎の連獅子さながら、自前の長い黒髪を頭でグルグル回転させて狂ったように踊る。脳みそが偏ってしまうのではないかと心配になる。見ているこちらは酔いが加速して頭がクラクラする。

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そのうちに飛び入り客がステージに駆けあがり、一緒に踊り出す。一般人も出来るのかい!!
地元の友人に聞いたら「俺も出来る」と、こともなげに言う。
2,400メートルの高地であんな事が出来るんじゃかなわない。
エチオピア恐るべし。