房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

ベンガル人の国へ その1

バングラデシュを訪れたのは10年以上も前になる。

インドを東西に挟んだパキスタンから1971年に分離独立して、東パキスタンバングラデシュ、「ベンガル人の国」になった。
人口は優に1億5000万人を超え、世界で最も人口密度の高い国と言われる。
日本を参考にしたという国旗は豊かな自然を表す緑の地、赤丸は独立のために流した血を意味するのだという。
思えば、アフリカにしろアジアにしろ、先進諸国の植民地からの独立に血を流した国は数知れない。今も各地で様々な形でそれは続いているわけで、あまりに平和で無警戒な日本人の一人として海外で思い知らされた事は沢山あった。

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バングラデシュ国旗

バングラデシュでの最初の洗礼はダッカの空港だった。入国審査の長い列に並んでいると、警備員のような二人が近づいてきて露骨な品定めの視線を浴びた。
「ファーストレーンに入れてやるから、こっちへ来い」と言う。嫌な予感はしたが、列に並び疲れていたし、ままよと付いて行くと案内された部屋でパスポートをチェックされた。黄熱病の予防接種済カードを見て、
「黄熱病の予防接種をした者は ”何だらかんだら” の注射も必要だ。なんなら狂犬病もココで打ってやるが、どうだ」
「そんな話は聞いてない、結構だ」
すったもんだの挙句、少額のドルを払って解放された。
入管や検疫で小遣い稼ぎをする奴がいるとは思ってもみなかったが、確かに特別レーンでの入国ではあった。

f:id:countryman81:20220322171835j:plain訪れた内陸の首都ダッカは正に人の渦、どこもかしこも人と車の海だった。
道路は大渋滞が当たり前で、10キロ行くのに平気で2、3時間かかったりする。列車はといえば時刻表など有るとは思えず、屋根にまで大量の人を載せて運行する。
ヒトよりクルマ優先というのはアフリカなどの国と同じで、道に信号や横断歩道などはなく、馴れと気合の足りない外国人は渡るのが相当に難しい。
移動事務所カーを納品するのが今回の仕事だったが、大渋滞の時間を車内で仕事に充てたいという事情は大納得である。

f:id:countryman81:20220322171928j:plain車のビジネス実態を知りたくて市内の販売会社、修理会社、輸送会社などを見て回った。中でも中古パーツマーケットが面白い。電球1個から、ボンネット、エンジン、その一部、山のないタイヤ、こんなもの日本ではスクラップだと思えるようなものまで何でもある。この市場で車を1から造れるに違いない。

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そのうちに、気づいたことがある。
販売や修理をしている会社が、どこもやけに高い塀や頑丈な門扉に囲まれている。泥棒除けとしても、これじゃお客が入り難いだろうに。
能天気な僕はその理由の一端を体験することになる。