房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

初めてのエチオピア

エチオピアという国はアフリカの国々の中で異色の存在

何が、と考えてみる。
細身、細面で長身、どこかギリシャ系のような顔の人々。美人の国と言われることもあるらしい。
アフリカで唯一と言える、植民地化されたことのない国。
(西アフリカのリベリアは建国の事情が特殊なので、除くとして)
アムハラ語という聞いたこともない言語を公用語とする。
外国人が学ぼうにも方法がない。高等教育のテキストは翻訳の手が届かず、英語の教材を使っているらしい。そのためか英語が通用し、アジスアベバに滞在する限りは会話の不便はあまり感じない。
アフリカでは稀な治安の良さ。夜でもおおむね出歩ける。
昔、マフィアのような連中がいたが、軍があっさり制圧したとか。
素晴らしく美味いコーヒーがある。
エチオピアはコーヒーの原産地と言われていて、手軽に挽きたてコーヒーを楽しめる。

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Irene2005 - originally posted to Flickr as Ethiopian coffee ceremony, Addis Ababa, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6089900による
ブンナ・セレモニーと呼ばれるコーヒー製作スタイル

音楽が日本人好み。
当地のポピュラー音楽はこぶしが利いたもので、どこか日本の演歌に似た哀愁がある。
首都アジスアベバケニアのナイロビより更に高い2,400メートルという高原に位置し、快適。
僕などは走ると息が切れたりする。マラソン選手が育つのも頷ける。

おそらく5、6回は訪れているこの国へはいくつかのフライトルートがある。
カタールなどの中東か、タイなどの東南アジアを経由してトランジット時間を除き約20時間ほどのフライトになる。
唯一、日本からアフリカ大陸にエチオピア航空の直行便が飛んでいる。直行と言っても実際は仁川空港で1時間のトランジットがある。以前のトランジットは機内で乗降が終わるのを待てばよかったのだが、仁川に経由地が変わってからは意味もなく一旦降機させられるようになってしまった。
このエチオピア航空便で初めてアジスアベバに入った時の事は鮮明に覚えている。

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ボレ国際空港で入国審査を済ませ、ブルという初めての通貨に換金して外に出た。
出迎えの人の群れや客引きなど誰もいない。ブルーの空港タクシーが少し離れた専用駐車場に集まっている。ガラガラと荷物を引いて近づくと運転手の一人が寄ってきた。客をとる順番が決まってるのか。社会主義国はこんな統制もされているのかと根拠もなく感心する。
メーターがついていないので、やはり値段交渉の儀式を経るのは万国共通。

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驚いたのはここからだ。
トランクに荷物を放り込んでシートに収まったら、周囲のタクシー運転手仲間が集まってくる。なんだなんだと見ていると全員で車を押し始めた。懐かしの押し掛けでエンジンスタート。噓でしょ。思えばこの車、多分昔はフィアットだったと思われ、日本に持ち帰って売りたくなるような骨とう品だ。
オートバイのようなエンジン音をまき散らし、上り坂では徐々にスピードが落ちる。
車体を揺らす超不安定なアイドリングにビクビクして、
「大丈夫か、この車」
「ナニガ? ワタシ運転ウマイ、エンストシナイ」
「止まったら、アンタが押せよ」
かくして車はエチオ・チャイナロードという面白くない名前の道を一路ホテルへと向かうのだった。