房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

プライド バトル

陸と空と

前方を行くカナダチームを見つけた。
こちらの巡航スピードが明らかに勝っているので、追い越すと決めて助手席のジャッジに了解を得、チームの各車両にそれを告げて準備開始。

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まず、無線をカナダチームの周波数に切り替えて追い越しを通知しOKを貰う。次に、スカウト車をカナダチームの前方に配置し、彼方まで対向車が絶えたら追い越し開始の合図をもらう。リード、ソーラーカー、チェイスの3台セットでスピードを上げ、一気に追い越す。
すれ違いざま、敵のチェイスとドライバーに合図を送るが高校生チームだと知られているので『チッ』という顔をしている。こちらはそれを確認して『イヒヒヒ』と心で笑う、緊張と爽快感に満ちたルーティン作業だ。スタンフォード大学とはこのルーティンを何度も仕掛けたり、仕掛けられたり。それは、レースをしているのだと実感できる数少ない場面であった。

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競争チームとのバトルは楽しい。
楽しくない天候バトルもあった。この年のオーストラリアは天気が不順で、想定外の雨に見舞われた。急変する空、雷、ソーラーパネルに弾ける強い雨、急激に消耗するバッテリー。つい今まで頭上にあった太陽を、どこにあったのかと疑う大量の厚い雲が覆い、360度の景色と気温が一変する。雨は風を呼んで落ちて来て路面に跳ね、赤土の地面を洗い流す。

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こんな日もあるさと諦めて隊列を止め、雲の行き過ぎるのをただ待つしかない。
オーストラリア大陸を縦断するとはこういう事かと、黒い空を見上げて思った。