房総半島から徒然ブログ

住みにくい世の中を出来れば笑って暮らしたい、寛容でおヒマなかたのみ歓迎の気まぐれブログです。

ロング トレイン ランニング

路上のモンスターたち

荒野の朝は早い。
遮るものが何も無いので、薄いテントに射す日の光で嫌でも目が覚める。8時の出発準備を進める我々のそばを大小の車が高速で飛んで行く。南に急ぐまともな道は多分これしかないのだろう。
スチュアートハイウェイには実に様々な車が走る。時には動物も走り、可愛そうな死骸を避けたりもしなといけない。ソーラーカーの後ろにピッタリと付けという助手席のジャッジの忠告はハイウェイに乗った途端に理解できた。

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最初の体験は対向車だった。青い回転灯を点滅した車がサイレンを鳴らしながらまずやって来る。これはうしろに続く車の事前警告だ。前方を警戒するスカウト車からの無線で知らされた風体の大型車が数分で現れるので、左に寄せて走らせながらすれ違うか、路肩に片輪を降ろして停車するか急いで判断する必要が有る。
家を載せたトレーラーが現れた時はゾッとした。白昼、反対車線まで大きくはみ出して走る車なんて日本ではあり得ない。同じような対向大型車に遭遇したらどうやってお互いをかわすのだろう。

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さらに怖いモンスターがいた。後方にいるパネルトラックが、車両の接近と連結車両数を無線で知らせてくる。急いでソーラーカーの後方2メートルに張り付いて、無線でドライバーに警告する。ロードトレインと呼ばれる正に列車のように20フィートコンテナを3本、4本と連結して、全長が優に20メートルを超えるモンスタートレーラーだ。

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轟音と振動が近づいてくる。追い越し時のスリップストリームに引き込まれるので、後方の見えないソーラードライバーがパニックにならないように大声のタイムカウントでガイドしながら、チェイスを出来るだけセンターラインに寄せてガード位置を取る。超軽量のソーラーカーの車幅分くらいは平気で吸い寄せられるので、ギリギリまで左に寄せてしっかりハンドルをホールドするようドライバーに指示する。

ハイウェイ上では様々な車が追い越しをかけてくる。そのたびに、それらがソーラーカーの直後に割り込まないように車間を詰めてガードして事故を防ぐのがチェイスの役目だ。
これらのモンスターに比べれば、競争チームとの接近遭遇は道中の楽しみであり、ワクワクし、ついついムキになる。